2. Debian 13 の最新情報
この章のより詳しい情報は Wiki を参照してください。
2.1. サポートするアーキテクチャ
Debian trixie で公式にサポートされているアーキテクチャは以下のとおりです。
32-bit PC (
i386
) and 64-bit PC (amd64
)64-bit ARM (
arm64
)ARM EABI (
armel
)ARMv7 (EABI hard-float ABI,
armhf
)little-endian MIPS (
mipsel
)64-bit little-endian MIPS (
mips64el
)64-bit little-endian PowerPC (
ppc64el
)IBM System z (
s390x
)
- Baseline bump for 32-bit PC to i686
The 32-bit PC support (known as the Debian architecture i386) now requires the "long NOP" instruction. Please refer to Baseline for 32-bit PC is now i686 for more information.
You can read more about port status, and port-specific information for your architecture at the Debian port web pages.
2.2. アーカイブエリア
以下の、社会契約と Debian ポリシーで言及されているアーカイブエリアが長期間に渡って存在しています:
main: Debian ディストリビューションそのもの
contrib: Debian ディストリビューションと互換性がある補助パッケージ群だが、ビルドまたは動作にディストリビューション外のソフトウェアを必要とする
non-free: DFSG (Debian フリーソフトウェアガイドライン) に適合しない、あるいは配布を難しくする他の問題があるが、Debian ディストリビューションと互換性がある補助パッケージ群
non-free なファームウェアに関する2022年の一般決議 によって、社会契約の第5条へ以下の文章が追加されました:
Debian の公式メディアには、Debian システムの一部ではないファームウェアが含まれていることがあります。これはそのようなファームウェアを必要とするハードウェアで Debian を利用可能とするのに他の方法がないためです。
未だ社会契約や Debian ポリシーには明示的に反映されていませんが、新しいアーカイブエリアが導入されたことで、non-free なファームウェアを他の non-free なパッケージから隔離できています。
non-free-firmware
ほとんどの non-free なファームウェアパッケージが Debian 13 リリースの準備中に non-free
から non-free-firmware
へ移動されました。このクリーンな分離によって contrib
や non-free
を利用しない、main
および non-free-firmware
のパッケージを利用した公式インストールイメージのビルドが可能になりました。同様に、これらのインストールイメージで contrib
や non-free
無しで main
および non-free-firmware
のみでシステムをインストール可能となっています。
bookworm からのアップグレードについては non-free コンポーネントと non-free-firmware コンポーネント を参照してください。
2.3. ディストリビューションの最新情報
Debian のこの新しいリリースには、一つ前のリリースである bookworm に含まれていたよりさらに多くのソフトウェアが含まれています。このディストリビューションには、11294 以上の新しいパッケージが含まれており、全体のパッケージ数は 59551 以上になりました。ディストリビューション中のほとんどのソフトウェア、すなわち約 42821 ものソフトウェアパッケージ (これは bookworm のパッケージ全体の 72% にあたります) が更新されました。また、かなりの数のパッケージ (bookworm のパッケージの 16% にあたる 9519 以上) が、様々な理由でディストリビューションから取り除かれました。これらのパッケージは更新されることはなく、パッケージ管理用のフロントエンドでは 'obsolete' というマークが付けられます。これについては 利用されなくなったパッケージ を参照してください。
2.3.1. デスクトップとよく知られているパッケージ
Debian は今回も複数のデスクトップアプリケーションとデスクトップ環境をサポートしています。中でも GNOME 43, KDE Plasma 5.27, LXDE 11, LXQt 1.2.0, MATE 1.26, Xfce 4.18 があります。
事務用アプリケーションもオフィススイートを含めてアップグレードされています:
LibreOffice が 7.4 へアップグレードされました。
GNUcash が 4.13 へアップグレードされました。
またこのリリースには、特に挙げるなら、以下のソフトウェアの更新も含まれています:
パッケージ |
12 (bookworm) でのバージョン |
13 (trixie) でのバージョン |
---|---|---|
Apache |
2.4.54 |
2.4.57 |
Bash |
5.1 |
5.2.15 |
BIND DNS Server |
9.16 |
9.18 |
Cryptsetup |
2.3 |
2.6 |
Emacs |
27.1 |
28.2 |
Exim default e-mail server |
4.94 |
4.96 |
GNU Compiler Collection as default compiler |
10.2 |
12.2 |
GIMP |
2.10.22 |
2.10.34 |
GnuPG |
2.2.27 |
2.2.40 |
Inkscape |
1.0.2 |
1.2.2 |
the GNU C library |
2.31 |
2.36 |
Linux カーネルイメージ |
5.10 シリーズ |
6.1 シリーズ |
LLVM/Clang ツールチェイン |
9.0.1, 11.0.1 (デフォルト) そして 13.0.1 |
13.0.1, 14.0 (デフォルト) そして 15.0.6 |
MariaDB |
10.5 |
10.11 |
Nginx |
1.18 |
1.22 |
OpenJDK |
11 |
17 |
OpenLDAP |
2.4.57 |
2.5.13 |
OpenSSH |
8.4p1 |
9.2p1 |
OpenSSL |
1.1.1n |
3.0.8 |
Perl |
5.32 |
5.36 |
PHP |
7.4 |
8.2 |
Postfix MTA |
3.5 |
3.7 |
PostgreSQL |
13 |
15 |
Python 3 |
3.9.2 |
3.11.2 |
Rustc |
1.48 |
1.63 |
Samba |
4.13 |
4.17 |
Systemd |
247 |
252 |
Vim |
8.2 |
9.0 |
2.3.2. さらに翻訳された manpage
翻訳者らのおかげで、man
-page 形式でのさらに多くのドキュメントがこれまでより多くの言語で利用できるようになっています。例として、多くの manpage がチェコ語・デンマーク語・ギリシャ語・フィンランド語・インドネシア語・マケドニア語・ノルウェー語 (ブークモール)・ロシア語・セルビア語・スウェーデン語・ウクライナ語・ベトナム語で利用できるようになり、さらに systemd の全ての manpage がドイツ語になっています。
To ensure the man
command shows the documentation in your language
(where possible), install the right manpages-lang package and make sure
your locale is correctly configured by using
# dpkg-reconfigure locales
.
2.3.3. Debian Med Blend からのニュース
リリースごとに医療・ライフサイエンス分野の新規パッケージが追加されています。新パッケージ shiny-server は R
を使った科学向けウェブアプリケーションを簡易に作成してくれるので特に言及する価値があるでしょう。また、我々は Debian Med team がメンテナンスしているパッケージ群へ継続的インテグレーション (CI) サポートの提供に向けた努力を続けています。
Debian Med team は常にユーザーからのフィードバックに興味を持っています。パッケージ化されていないフリーソフトウェアのパッケージ化リクエストや、testing にある新規パッケージやより新しいバージョンのパッケージを backports へ投入することについては特にです。
Debian Med team がメンテナンスしているパッケージをインストールするには、med-*
という名前の Debian bookworm ではバージョン 3.8.x のメタパッケージをインストールしてください。Debian で入手可能な全範囲の生物・医療関連ソフトウェアを参照するには Debian Med tasks pages にお気軽にお越しください。
2.3.4. Debian Astro Blend からのニュース
Debian bookworm は Debian Astro Pure Blend バージョン 4.0 として提供されます。Debian Astro Pure Blend は天文学の専門家、天文愛好家、そして天文学に興味を持つ全ての人々へ素晴らしいワンストップソリューションを提供し続けています。Debian Astro のほぼ全てのパッケージは新しいバージョンへ更新されていますが、新しいソフトウェアパッケージもいくつか存在します。
電波天文学者向けにオープンソースの相関器である openvlbi が含まれるようになりました。新規パッケージの astap と planetary-system-stacker はイメージ・スタッキング法や天体位置測定学に役立ちます。INDI プロトコルをサポートする大量の新しいドライバとライブラリがパッケージ化されて Debian に含まれており、利用できるようになっています。
The new Astropy affiliated packages python3-extinction, python3-sncosmo, python3-specreduce, and python3-synphot are included, as well as packages created around python3-yt and python3-sunpy. Python support for the ASDF file format is much extended, while the Java ecosystem is extended with libraries handling the ECSV and TFCAT file formats, primarily for use with topcat.
完全な一覧とさらなる情報を得たい方は the Astro Blend page を確認してください。
2.3.5. ARM64 でのセキュアブート
ARM64 でのセキュアブートサポートが trixie にて再導入されました。UEFI が利用可能な ARM64 ハードウェアのユーザーはセキュアブートモードを有効にして起動が可能となり、セキュリティ機能の恩恵を最大限に受けることができます。セキュアブートを有効にしたシステムを使うには、grub-efi-arm64-signed および shim-signed パッケージがインストールされているのを確認してから、デバイスのファームウェア設定画面でセキュアブートを有効にして再起動してください。
Wiki にはセキュアブートの使い方とデバッグ方法についてのさらなる情報があります。