Debian は他のディストリビューションとは少々異なっています。他のディストリビューションで Linux に精通された方でも、システムを整然とした状態に保つためには、Debian について知っておかなくてはならないことがあります。この章では Debian に慣れる手助けとなる資料を紹介します。Debian の使い方を逐一説明することは意図していません。すごく急いでいる人にシステムをざっとつかんでもらうだけのものです。
まず理解すべき最も重要な考え方に、Debian のパッケージングシステムがあります。基本的に、システムの大部分はパッケージングシステムの管理下にあると考えられています。このパッケージングシステムによって管理されるディレクトリには、以下のディレクトリが含まれています。
/usr
(/usr/local
を除く)
/var
(/var/local
を作成し、それ以下のディレクトリを自由に使うことは可能です)
/bin
/sbin
/lib
例えば、/usr/bin/perl
をあなたが別に用意したファイルで置き換えたとしても、その動作には問題はありません。ただし、後で perl
パッケージを更新すると、あなたが置いたファイルはパッケージによって置き換えられてしまいます。これを避けるには、aptitude でパッケージを 「hold」 (保留) するという操作を行います。
ベストなインストール方法の一つに apt があります。コマンドライン版の apt を使うことも、aptitude や synaptic (apt のグラフィカルなフロントエンド) のようなツールを使うこともできます。apt は main・contrib・non-free をまとめて扱うので、制限されている (正確にいうと Debian には含まれていない) パッケージを Debian GNU/Linux からのパッケージと同様な形で同時に取得できるという点に注意してください。
Debian のデフォルトインストールでは有効にならない、公式・非公式のソフトウェアリポジトリがあります。この中には、重要で当然インストールしておくソフトウェアもたくさんあります。こういった追加リポジトリの情報は、Debian Wiki の The Software Available for Debian's Stable Release ページにあります。
複数のバージョンがあるアプリケーションは、update-alternatives で管理されています。同種のアプリケーションを複数保守する場合は、update-alternatives の man ページをご覧ください。
システム管理者権限のもとで実行するジョブは、設定ファイルのある /etc
に置いてください。毎日、毎週、毎月 root で実行する cron ジョブがあれば、/etc/cron.{daily,weekly,monthly}
に置いてください。これらは /etc/crontab
から呼び出され、アルファベット順に実行されます。
一方、特定のユーザで実行する必要がある cron ジョブや、特定の時間または頻度で実行する必要がある cron ジョブには、/etc/crontab
あるいは /etc/cron.d/whatever
が使えます (後者の方が望ましい)。これらのファイルには cron ジョブを実行するユーザアカウントを明記する特別なフィールドがあります。
どちらの場合も、ファイルを編集するだけで cron が自動的に実行してくれます。特別なコマンドを実行する必要はありません。詳しい情報は cron(8)、crontab(5)、/usr/share/doc/cron/README.Debian
をご覧ください。