デバイスドライバの可用性とは別に、いくつかのハードウェアでは、デバイスを使用できるようになる前に、いわゆる ファームウェア や マイクロコード を、デバイスに読み込む必要があるものもあります。もっとも一般的なのはネットワークインターフェースカード (特にワイヤレス NIC) ですが、例えば USB デバイスやハードディスクコントローラでも、ファームウェアが必要なものがあります。
多くのグラフィックカードでは、基本機能は追加ファームウェア無しで利用可能なものの、先進的な機能を使用するためにはシステムにファームウェアをインストールしなければなりません。いくつかのケースではインストールが成功したにも関わらず、インストール後に再起動した際に画面がブランクあるいは文字化けした状態になってしまうことがあります。このような現象が起きた場合であったとしても、ログインを試行可能な回避策があります (「インストールしたシステムの設定を完了する」 を参照してください)。
動作にファームウェアを必要とする古いデバイスでは、ファームウェアファイルは、メーカーによってデバイスの EEPROM/フラッシュチップに永続的に置かれていました。今日では、ほとんどの新しいデバイスがこの方法でファームウェアを埋め込まなくなり、ホストの OS がシステムブート時に、毎回ファームウェアファイルを、デバイスにアップロードしなければならなくなっています。
多くの場合、Debian GNU/Linux プロジェクトで使用する基準において、non-free (非フリー) であるため、main ディストリビューションや、インストールシステムに含むことができません。デバイスドライバそのものがディストリビューションに含まれ、Debian GNU/Linux が法的にファームウェアを配布できるのであれば、アーカイブの non-free セクションに独立したパッケージとして、利用できることがしばしばあります。
しかし、そのようなハードウェアを、インストール中に使用できないわけではありません。Debian GNU/Linux 5.0 からは、debian-installer
は USB メモリなどのリムーバブルメディアから、ファームウェアを含む、ファームウェアファイルやパッケージの読み込みをサポートしています。インストール中に、ファームウェアファイルやパッケージをどのように利用するのか、といった詳細情報は、「見つからないファームウェアの読み込み」 を参照してください。
debian-installer
がファームウェアファイルを要求し、そのファームウェアファイルがない、または非フリーのファームウェアファイルをシステムにインストールしたくないといった場合は、ファームウェアをロードせずに継続を試せます。特定の状況下で必要になるはずなので、ドライバが追加ファームウェアを要求する場合があるのですが、ほとんどのシステムで、デバイスはファームウェアがなくても動作します (例: tg3 ドライバを使用する特定のネットワークカードで発生)。