Debian ウィークリーニュース - 2006 年 5 月 23 日
Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 21 号へようこそ。Julien Danjou さんは、Debian の不安定版 (unstable) に入っているバーチャルマシンモニタ Xen 3 上で、NetBSD 3 のインストールに成功したと報告しました。Eric Dorland さんが、 デバッグシンボルを有効にしたライブラリパッケージの作成方法について説明しています。
グラフィカル Debian インストーラのイメージ。
Frans Pop さんは、i386 プラットフォーム用のグラフィカルインストーラが通常の daily
ビルドイメージとして加えられたと報告しました。AMD および PowerPC もこれに続く予定です。
新しいインストーラを使うには、ブートパラメータに "installgui
"
もしくは "expertgui
" を指定します。Frans Pop さんは、
グラフィカルインストーラがデフォルトになるのは etch のリリース以降になるだろう、と説明しています。
Debian による Sun Java の配布。 Jeroen van Wolffelaar さんの報告によれば、Sun がライセンスを改訂したため、Sun 製 Java のパッケージが Debian の non-free セクションで入手可能になりました。Debian は、Kaffe や GCJ といったフリーなランタイム版や開発環境も、これまで同様サポートを続けます。 しかしながら Red Hat 社は、これでは十分にフリーとは言えず、Sun は少なくとも仮想マシン (JVM) だけでもフリーにすべきだと不満を唱えています。
DebConf6 が成功裡に終了。 先週メキシコで開催された、7 回目となる今年の Debian カンファレンスが終了しました。Debian におけるこの偉大なイベントを可能としてくださったスポンサーと運営チームに心から感謝します。 多数の写真が gallery にて閲覧可能で、すべての講演内容を収録した DVD も約 4 週間以内には入手可能になるでしょう。
changelog ファイルの分割。 Nico Golde さんは、Debian パッケージ用 changelog ファイルが、編集頻度が非常に高いためあまりにも巨大になってしまったときに、 その巨大で古いファイルをどう取り扱うのが適切か、と尋ねました。この質問に対して出された有力な意見は、changelog ファイルにはこれまでのバグ修正の日時や理由に関する情報が含まれているので、 ファイルを分割せずに全体を保持し続ける、というものです。changelog ファイルはパッケージ中では圧縮されているため、 それによるディスクスペースの消費は通常は許容範囲にあります。
プロジェクトリーダーレポート。 Anthony Towns さんは、Debian プロジェクトのパートナーになることを希望している組織がもっとうまく Debian に協力できるように、プロジェクトとして支援できる方法がないか皆で考えよう、と促しました。 彼はパートナーに対する社会契約について思案し、アドバイスを求めています。 彼はまた、今年の Debian カンファレンスに対して多数のスポンサーを得られたことや、Google の Summer of Code に参加していることについても報告しました。
セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。
- DSA 1058: awstats -- 任意のコードの実行。
- DSA 1059: quagga -- 複数の脆弱性。
- DSA 1060: kernel-patch-vserver -- 権限の昇格。
- DSA 1061: popfile -- サービス不能 (DoS) 攻撃。
- DSA 1062: kphone -- 情報の暴露。
- DSA 1063: phpgroupware -- 任意のウェブスクリプトコードの実行。
- DSA 1064: cscope -- 任意のコードの実行。
- DSA 1065: hostapd -- サービス不能 (DoS) 攻撃。
- DSA 1066: phpbb2 -- 任意のウェブスクリプトコードの実行。
- DSA 1067: Linux 2.4.16 -- 複数の脆弱性。
- DSA 1068: fbi -- サービス不能 (DoS) 攻撃。
- DSA 1069: Linux 2.4.18 -- 複数の脆弱性。
- DSA 1070: Linux 2.4.19 -- 複数の脆弱性。
- DSA 1071: MySQL 3.23 -- 複数の脆弱性。
- DSA 1072: nagios -- 任意のコードの実行。
- DSA 1073: MySQL 4.1 -- 複数の脆弱性。
新規または注目すべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、 または重要な更新を含んでいます。
- anjuta-dev — C/C++ 用 GNOME 版統合開発環境 - 開発用ファイル。
- boinc — 分散コンピューティング用インフラストラクチャ BOINC 用の核となるクライアント。
- kdevelop — UNIX/X11 用の統合開発環境 - 開発版。
- tasksel-data — Debian システムのインストールに使われる公式タスク。
みなしご化されたパッケージ。 今週 6 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。 これでみなしご化されたパッケージは合計 298 個となりました。 フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。 完全なリストが、WNPP のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、 バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。
- aqsis — RenderMan Interface を実装したアプリケーションスイート。 (Bug#368070)
- cyrus-sasl2 — 認証抽象化ライブラリ。 (Bug#368370)
- libsdl-erlang — Simple DirectMedia Layer ライブラリへの Erlang バインディング。 (Bug#368073)
- websieve — Web ベースの Cyrus IMAP ユーザ管理クライアント。 (Bug#368099)
- wings3d — Nendo に触発された 3D ポリゴンメッシュモデラ。 (Bug#368072)
- yaws — Erlang で書かれた高性能 HTTP 1.1 ウェブサーバ。 (Bug#368071)
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今週号の Debian ウィークリーニュースは Sebastian Feltel, Thomas Bliesener and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。
今井 伸広, 小林 儀匡 and 田村 一平 が翻訳しました。